日本における土壌汚染

国の施策における用語と意味の混乱

国や地方自治体の行政上での「土壌汚染」は、「土壌(地盤を構成する物質のみ)が汚染されている現象を指し、地下水や地下空気が汚染されている現象を含まない」としており、実務上は地下水面から上の地盤構成物(砂や粘土など)の汚染のみを扱い、これを土壌環境基準や土壌汚染対策法の考え方としている。一方、「地盤は水と空気の一体で構成され、これらの相互作用により地盤全体の環境機能が構成されている」との考え方から、国などが使用している「土壌」という用語では本質的意味が異なっている(1.いわゆる土壌層と混乱しやすい、2.土壌・水・空気と一体であるので対策も一体として考えるべき)とし、地質汚染・地盤汚染・地下環境汚染のように言い変えるとともに、行政上の施策の方針を変更すべき(地盤構成物のみではなく地下水も含めた地盤全体の環境機能)と提唱する考え方もある。このように地盤の汚染問題について、地盤の構成物(砂や粘土など)のみを抽出し、地下水や地下空気を除外し、これを施策として扱っているのは、日本の特徴である。


2005年頃より、自然地盤、特に重金属等を含む岩石(例えば山岳地においてトンネルを掘削して発生する土砂(ズリとも言う)など)の取り扱いについて、地方行政において混乱が発生しはじめた。行政上における自然由来重金属等を含む岩石の評価は、土壌環境基準に定める分析を行い、その基準の超過により行われている。この分析法は、「土壌(科学上の土壌)」における重金属類の評価を行うことができる一方、「岩石」については正しい分析を行うことができない。しかし岩石についても、土壌環境基準による分析を行わざるを得ず、得られた分析値の評価が曖昧となっている。この原因として評価目的において、1)行政上の土壌の定義が曖昧な(土壌/岩石の区別がない)こと、2)人や環境に対する影響の考え方が定まっていない(例えば自然状態でのバックグラウンドによる暴露評価)こと、3)岩石の分析法が定まってないこと、などがあげられる。このような科学技術と行政施策の矛盾について実務(工事施工)対応のたたき台(案)として、土木研究所から「建設工事における自然由来重金属等含有岩石・土壌への対応マニュアル(暫定版)(案)」[2]が2010年1月に出された。

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